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Smooth Changes


例えば、渋谷ほど雑多なサブカルが集約しているエリアは、世界中どこを探してもないという。
例えれば、何か大きな世界的なサブカル・プロセッサの集約機能がこの街である。


小さな島国は歴史が生まれる前から、遠く海を渡ってくるものに恩恵を預かっていた。
少なくとも、ネガティブなものであったということは学んでいない。
それを加工して受け入れてきた先達たちの知恵と工夫が綿々と脈だっているということ。
それが少なくとも、日本を際立たせてきた要素であるということ以外。

話は現代の東京に戻る。
東京ほど、世界各国のレストランがある都市は無いという。 少なくとも今のところは。


"秩序のある"煩雑さと多様性が、毎日何かを生んでいる。
人が何かに衝撃を受け、受け入れ、そして創造するというサイクルが循環している。
その結果として、日本の何がしはきっと圧倒的に面白い。


したがって、私たちはこの年の最終号において、最も重要な質問を問いかけます。


日本のファッションを取り巻く環境は変わり始めたということ。
それが表面化した一年であったということ。
問題の本質として、従来の産業システムが、これまでの通常の敵(景気)に負け戦を始めたということではなく
業界が新たな敵を前にフリーズしているという実情。


それが、何であるか―


先月のキャットストリートの取材以前に、景気の下り坂はずっと始まっていた。
売れ悩みやアパレル会社倒産の話は日常で、「もって3年」という言葉は、デビューしたてのデザイナーには重く圧し掛かっていた。

私たちは、よくデザイナーやブランドの展示会に行く。
合同展示会にも良く行くが、これはもっぱらバイヤー向けの展示会となる。
後者で感じたことが、先の問いに答えるだろう。

まず圧倒的にバイヤーの数が減っている。
仮にこれが景気の後退によるものの為だけではないとしたら、答えは、パラダイムシフトが始まっているということになる。


理由はなんだろうか―


国内の百貨店が喘いでいる。
自らの位置付けが見つからず方向感覚を失っている。
国内の小売店も然り、リセッションに逆らうことは至難の業である。


ここで売り手と買い手という双極で捉えてみる。

ひとつは、大きな環境の変化、それはインターネットの登場。
これにより、バイヤーとしての機能減につながっている。つまり、お店による買い付けという作業が急速にオブソリュート化されつつあるということ。
バイイングが成立した従来のスタイルが、合理化の下減退している。
かつてはデザイナー・バイヤー・ショップなどという明瞭な領域があったが、すべては没落した旧都市のように映る。

もうひとつは同期して、カスタマー側の変化となる。最終消費者の変化である。
これもネットの登場による変化の潮流に乗っていることに疑いはない。
かつての一方通行の先に待っているような受け手は、もういない。
カスタマーのバイヤー化、であろうか。

世の中の大きな変化同様、これまでの産業システムは今変化の過渡期にいるのだ。
これは他(音楽など)の業界にも対応するだろう。


モデルがない以上、試行錯誤は続く―


例えば、バイヤーではなく、直にカスタマーとの距離を詰めるデザイナーが増えている。
これは企業レベルではすでに始まっていることだが、デザイナーレベルでも始まってきているということだ。
さらにリアルクローズではこれはカスタマー側でも同じ。カスタマーが直接的にブランド側に接近する傾向が増えている。
ここに変化の芽がある。
これはデザイナーにはある種のライフスタイルのデザインも必要とされていることを意味している。


これまでのエスタブシッシュメントの分子構造はすべて解れて、また結びつくべく漂っている。
今後どのように再結合されるのだろうか。
通常分解された何がしは、孤立し続ける事はなく、新たなものと断片的にしかし機能的に結びついて見てとれるもの ―ブレンドされたモデル― である。
そこには大抵新しい因子が介在する。そして古いものの中には消滅するものもある。
私たちは細胞分裂の先に全く新たな結びつきと機能性を垣間見るのであろう。
プロローグに過ぎない今はそれまでの準備期間と考えた方が良いのかも知れない。

大きな豪華客船に乗るか、小型帆船で航海に出るか―
グローバリゼーションが進む一方で、ローカライゼーションも、一方でバランスを取るように進んでいる。


ネットでのやり取りが進む一方で、ここへ来てアナログ的な「人との交流」の重要さに気付く人も増えてくる。
風通しがよければ、ひとつのロールモデルとなる可能性を持っている。
私たちはそこに今立ち会っている。

この場合、先のサイクルが循環している限り、面白いものは創造され続けるのだろう。
この限り、私たちはもう少し、信じてみようと思うのだ。
この先どうなるのかということを。


Japan-Fashion.com Founder

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